頚髄症の重症度判定の伝統的なスコアです。頚髄症に関する研究は世界でも日本がリードしていて、頚椎JOAスコアは海外の論文でも多く採用されています。ただ、上肢機能の「箸が不能」の判定で苦労しているようですが。 最近では、患者立脚型評価法として、頚部脊髄症評価質問票(JOACMEQ)が開発され、臨床評価に用いられ始めています。しかし、従来型(17点満点)の頚髄症判定基準は簡便であり長期成績の研究にも使用されているためか、まだまだ用いられています。
頚椎JOAスコア・17点満点
運動機能
上肢手指
自力では不能(箸、スプーン、フォーク、ボタン掛けすべて不能) 0点
箸、書字が不能。スプーン、フォークでかろうじて可能。 1点
箸で大きなものはつまめる。書字はかろうじて可能。大きなボタン掛け可能。 2点
箸、書字がぎこちない。ワイシャツの袖のボタン掛け可能 3点
正常 4点
下肢
独立、独歩不能 0点
平地でも支持が必要 1点
平地では支持不要。階段昇降に手すりが必要 2点
ぎこちないが、速歩可能 3点
正常 4点
知覚機能
上肢
触覚、痛覚の完全脱出 0点
6/10以上の鈍麻、しびれ、過敏 1点
正常 2点
体幹
触覚、痛覚の完全脱出 0点
6/10以上の鈍麻、しびれ、過敏 1点
正常 2点
下肢
触覚、痛覚の完全脱出 0点
6/10以上の鈍麻、しびれ、過敏 1点
正常 2点
膀胱機能
尿閉、失禁 0点
残尿感、怒責、尿切れ不良、排尿時間延長、尿漏れ 1点
開始遅延 2点
正常 3点
参考
改善率 (%) = (術後点数 - 術前点数) / ( 17点 - 術前点数 ) x 100
参考文献: 平林ほか 日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準 日整会誌 1994
K Hirabayashi, K Satomi - Spine, 1988
Operative procedure and results of expansive open-door laminoplasty.
関連リンク: 腰痛疾患治療判定基準 (腰椎JOAスコア)
2015-11-09