筋線維のタイプ(速筋、遅筋)とMYHのアイソフォーム

サルコペニアでは速筋が減少しやすいとされています。筋繊維のタイプを解説します。

 

【筋繊維のタイプ】

・遅筋  タイプI 繊維、Slow twitch muscle、TypeI fiber。

代表は抗重力筋であるヒラメ筋。

 

・速筋  タイプII繊維、Fast twitch muscle、TypeII fiber (a,b, ab, c,  ac))。

代表は前脛骨筋。

 

【速筋と遅筋の区別】

Atapase染色

収縮のエネルギーとなるアデノシン三リン酸(ATP)の合成能力の違いを指標として骨格筋を染色する、Atapase染色で区別します。Atapase染色アルカリ側で濃染するのが、タイプII繊維。 

Ph4.6以下で失活(白くなる)すると、タイプIIa繊維。 

Ph4.3以下で失活するとタイプIIb繊維。 胎児の筋繊維がタイプIIc。

Atapase染色アルカリ側
Atapase染色アルカリ側。Iが速筋、IIが遅筋

・NADH染色

濃染するのがタイプI繊維(遅筋)。NADH を補酵素とする各種脱水素酵素の活性を反映する.筋線維内では,筋小胞体,ミトコンドリア,ライソゾームが主に染色される.ミトコンドリアはタイプ 1 線維に多いことから,タイプ 1 線維はタイプ 2 線維よりも濃染する.

NADH染色 NADH-TR staining
NADH-TR染色 濃染するのがタイプ1繊維(遅筋)、濃染しないのがタイプ2繊維(速筋) http://dx.doi.org/10.1016/j.neuron.2014.03.001

【発現するMYHの種類】

骨格筋の構造タンパクであるミオシン重鎖タンパク(myosin heavy chain、MYH)のアイソフォームが筋繊維のタイプごとに異なります。

・速筋

 MYH-7 (MHC-I, MHC-beta),

14q11.2-q13

・遅筋

MYH-1 (MHC-IIx), 17p13.1

MYH-2 (MHC-IIa), 17p13.1

MYH-4 (MHC-IIb), 17p13.1

MYH-7 (MHC-I,beta), 14q11.2-q13

 

 

参考:Hugo Gene nomenclature committee, HGNC

http://juniorski.blog88.fc2.com/blog-entry-2368.html

http://moon.ouhsc.edu/kfung/jty1/Com04/Com411-1-Diss.htm

https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/051090669.pdf

 

2015-10-14

 

自己紹介

飛田 哲朗 Tetsuro Hida

名古屋で脊椎外科医の仕事の傍ら、サルコペニアの研究をしています。

2017年-2018年 アメリカのサンディエゴに、家族連れで臨床留学しました。 

 

好きなテレビ:

未来世紀ジパング

 

池上彰さんが出る回とか、最高ですね。テレ東経済番組の面白さは安定してます。

 

好きな映画:

アメリカのSF映画。遺伝子エリートと雑草魂の葛藤がたまりません。同じアンドリュー・ニコル監督の「In Time(タイム)」もいいですね。

 

息子の難病の治療法開発を試みる銀行家の父の、実話を元にした物語。熱意と戦略がそろえば誰でも治療法開発に携われる可能性があるんですね。

Follow-up of 89 asymptomatic patients with adrenoleukodystrophy treated with Lorenzo's oil

論文のラストオーサーが父親。

 

 

NYのイタリアンレストランのある一夜が舞台。料理漫画の傑作「バンビ〜ノ!」全巻がこの1本に詰め込まれたような中身の濃さ、事件だらけです。イタリア料理好きにはたまらない数々の料理、ガーリックオイルが恋しくなります。

 

好きな飲み物:


最近はアメリカのマイクロブリュワリーと呼ばれる小規模ビール工房の地ビールにはまっています。

 

サンディエゴにあるBallast Point という醸造所のSculpin (Indian Pale Ale)というとても味が濃くてフルーティな種類のビールがお気に入りです。

 

 

 

リンク

朝日新聞、 「筋肉少なく肥満、高齢者の1割 名大、北海道の323人分析」(平成26年6月3日夕刊)

八雲町での疫学調査を取り上げていただきました。

名古屋テレビ UP! 注目ニュース「サルコペニア肥満」

2013年8月2日に放送された内容です。僕の研究を取り上げていただきました。とてもわかりやすくまとまっています。

 

リハビリテーション栄養・サルコペニア(筋減弱症)

サルコペニアのエビデンスが集積しています。勉強になります。

 

整形外科 論文ナナメ読み (JBJSなどなど)

JBJSの要約がまめに更新されています。抄読会のネタ探しにぴったりです。

整形外科医のための英語ペラペラ道場

英語論文を書く際の道しるべです。

整形外科医のブログ

整形外科臨床にとどまらず経済学にも詳しい記事が参考になります。